食道楽

食道楽

「智育よりも体育よりも一番大切な食育の事を研究しないのは迂闊の至りだ」と明治の時代から食育を唱えた食の啓蒙家、村井弦斎の小説「食道楽」は、1903(明治36)年の1月から12月まで報知新聞に連載され、 読者から熱狂的な人気を博した新聞小説で、明治年間で最もよく売れた小説です。 本筋は、主人公の大原満とヒロインお登和の結婚の行方ですが、もうひとつの主役は何といっても料理で、文中に登場する料理の数は、実に600種以上。 料理そのものが読者である主婦から圧倒的な支持を得て、お登和が料理を教えたり、 兄の中川が料理や食物の蘊蓄を傾ける場面が次々に展開し、筋の方が脇役になってしまったという、いま読むとなんとも不思議な小説です。
書かれたレシピは洋食、中華、和食なんでもありと、今の日本の家庭料理の原点がここにあります。上野広小路めぐりでは、8回にわたって「食道楽を聴いて食べる会」を開催しました。
朗読は鈴木千秋さん、本筋の大原満とお登和の結婚の行方にスポットをあて、村井弦斎のユーモア溢れる文体を楽しんでいただきました。
聴覚と味覚の両方で「食道楽」の世界を楽しむこの企画、朗読/鈴木千秋、料理再現/めぐり、コーディネイト/柳ヶ瀬和枝(リコシェ)のコラボレーションです。

「食道楽」のレシピは書き言葉で分量などがほとんど書いてあるわけではないのですが、読み解いて、試行錯誤して作っていく作業はとても楽しいものです。びっくりするほど新しい、弦斎の料理の数々、わくわくしながら今後も復元を続けたいと思っています。

鈴木千秋 
柳ヶ瀬和枝(リコシェ) http://d.hatena.ne.jp/ricochet_naminori/

 

復元レシピの糠ケーキ、炭びすけ、近日発売予定
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村井弦斎とは(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E4%BA%95%E5%BC%A6%E6%96%8E

 

食道楽メニュー

 


絵/田鎖幹夫

東京新聞の掲載記事