「季節のめぐみ、いただきま~す」
四季の国日本、季節がめぐって美味しいものを運んでくれます。
季節の食材は私たちの体が必要とするものです。
調合調味料を使わず、昆布、鰹節で出汁をとり、塩、醤油、酒、酢、みりん、砂糖などの基本調味料で味をつける。素材も調味料もシンプルに安全をこころがけています。
また、素材をあますとこなく使う日本の台所の知恵と文化を大切にしています。生ゴミが少ないのも自慢です。

上野広小路めぐりでは<ばあばのランチ>として一汁三菜を基本に、季節の素材と季節の行事を大切にしてきました。

 

■ばあばのルーツ

めぐり名物「ばあばのランチ」、ばあばの由来は中江百合さん。ばあばと呼ばれた百合さまは明治生まれの料理研究の草分け。美味しいものを食べたくて、家族や友人に食べさせたくって料理に情熱を燃やし、思いをこめて作り、研究し続けた、美味求道の人生。
かねての知己であった中江家に、「中江ばあば」には及びもつかないが、「ばあばのごはん」という名称を使用したいとお願いをして、快諾を得た。
一流の料理研究家たちが愛してやまない百合さまの名著「お料理十二ヶ月」は復刻にあたり「季節を料理する」と名前を変更。阿川弘之氏が序の言葉を贈り、阿川佐和子さんが帯に以下の言葉を書いてくれています。「あやうく忘れかけていた。日本の家庭に、これほどおいしいものがあり、こんなに美しい四季の食卓文化があったことを。この一冊で日本人は自信を取り戻せそうな予感がする」。

 

一汁三菜は日本の食の知恵

一汁三菜は禅宗で始まった食事の形式。ご飯と汁と漬物を除くおかずが3種(主菜と副菜)の献立。めぐりのランチの場合、主菜はマグロ、副菜は野菜の煮物、和えもの(酢の物)で三菜、お豆腐はおまけになります。エネルギー源となる炭水化物をご飯で、汁もので水分を、おかずで、タンパク質・ビタミン・ミネラルその他の栄養をバランスよくとることができる理にかなった食事形態です。
かつて奈良東大寺南大門脇にあった下々味亭は一汁一菜の店。薪で炊いたかやくご飯と味噌汁と日替わりの一菜。当たり前だけどなんとも美味しい、質素だけど豊かさがある食事で大好きでした。

 

上野広小路めぐりのメニューからいくつかを紹介します。

絵/田鎖幹夫

●睦月/お正月料理 七草粥 鏡開きお汁粉
●如月/ふきのとう あんこう鍋
●弥生/お雛寿司
●卯月/お花見弁当 若筍煮 イチゴのソース
●皐月/山菜料理 新茶ごはん
●水無月/一番もずく 梅味噌 梅ジュース
●文月/紫蘇ジュース
●葉月/冷たい甘酒 だだちゃ豆
●長月/芋名月
●神無月/新米 きのこ料理 秋の香もって菊
●霜月/銀杏
●師走/冬至かぼちゃ 柚子茶 鶏肉団子鍋